老女の心
ご存知であろうが、タイ国は日本と同じように王が存在する。現在、プミポン国王は60年というタイでもっとも長い在位期間の国王である。
プミポン国王は国民から愛されている。これは表面的なことを言っているのではない。本当に愛されているのだ。
仏暦2550年の今年はちょうど、国王の80歳の誕生日にあたる。そこで、国民は「forever」を願い、月曜日には黄色い服を着る。店員から客までみんな黄色である。だから、だれに声をかければよいかわからなくなるが…。
ちょっと説明します。タイでは生まれた月日だけではなく、曜日も感心事である。プミポン国王は月曜日に生まれたため、月曜日の色である黄色の服を着ることにより、国王への忠誠を示しているのである。
始めタイに来たとき、いたるところに国王の写真が飾ってあるので、某東アジアの国のような洗脳の手段ではと思った。それは大間違いであった。国民は自分の誇りとして写真を飾っているのである。
最後に、タイ人のだれもが知っている一枚の写真を紹介する。
それは老女がしおれた蓮の花を国王に渡している写真である。この老女は百歳を過ぎているが、どうしても国王に蓮の花をお渡ししたいと聞かず、家族を連れ立って猛暑の中8時間、国王を待った。国王がこの地を訪れたときこの老女が目にとまり、近づいていった。
国王はかがみこんでしおれた蓮の花を受け取り、老女に2,3ささやいた。その内容は伝えられていない。老女の心の中だけにある。