2010-01-01から1年間の記事一覧

「食べてもらう」は誰が食べる

補助動詞の授受表現は日本語学習者には本当に難しいようだ。 ①ニンジンを食べてあげる。 ②ニンジンを食べてもらう。 無標で①は話者、②は非話者です。が、学習者は ②も話者だと考えてしまいます。「もらう」が引っかかるんですね。 形式イメージでは③として捉…

動詞「防ぐ」

防ぐ」…よくない状態にならないように食い止める。(小学新国語辞典) ①事故を防ぐ(〃) 「防ぐ」対象が事故となります。上の説明の「よくない状態」=事故です。 でも、 ②子どもを犯罪から防ぐ。 これはちと違うようです。子ども=「よくない状態」ではな…

後退

一日所長、一日駅長って今も変わらずやってますね。 まあ、マスコミがとびつくからでしょうが。 一昔まではアイドルやTV有名人がなってましたけど、 最近、動物がそれやってますね。 動物団体はなぜ何も抗議しないのでしょう。 まあ、そういう団体はそのレ…

暗記は悪か

上のタイトルを見ただけで、普通の母語話者は この人は「悪ではない」ことを言おうとしていることが わかります。 語学教師は学習者に暗記しろと言いにくいんですよね。 なんか仕事を放棄しているようで。でも、時には声を高らかに 「暗記は大切なのだ。エヘ…

一文でできない文

日本語教育の中で初級で出てくる文型(文法形式の雛形)も 実のところ、そう簡単には一般化できないこともあります。 ①田中さんを案内する。 ②京都に案内する。 ③*田中さんを京都を案内する。 上の例文③は「二重ヲ格制限」でできない。 ④#田中さんを京都に案…

BESTなものが生き残れる保障はない

少人数で規格性がある。これが日本のいいところでしょう。 当然政治然り生かせてもないし、 逆に弱みまでになりさがってますが、 起こってみたところでやっぱりそれ相応かなあと 思わずにはいられない。他にいないし。 で、大きいだけが頼りのところに弱みを…

使役形と「心配」

日本語教育では使役文を他動詞と自動詞とに分けて教えられます。 他動詞文の使役文は下の②のようになります。 ①子どもが病院へ行く。 子ども⇒ ②父は子供を病院へ行かせる。父→子ども⇒ 父というパワーで動く(行く)子どもは「が>を」に代わります。 一方、…

「まで」「までに」

「まで」「までに」は持続と限界の違いと説明されています。 まあ、それで大体納得がいくのですが、動詞との関係で 学生がちょっとつまづくかもと思うことがあります。 A 3時まで/までに寝ます B ??3時まで/3時までに起きます Aでは、「寝ます」は持続…

ほんのしょうかい2

言語系、言語教育系ばかり読んでいて、 頭が固まっちゃうんじゃないかと思い 読んだのがこれ。 『共感の時代』(紀伊国屋書店) 著:フランス・ドゥ・ヴァール この人はサルの研究者ですが、 心理学的なことと社会学的なことを中心に研究しています。 サルっ…

ほんのしょうかい1

だいぶ前に読んだものですが、 『日本語の省略がわかる本』(明治書院) そんなに期待しないで、買ったけど、 なかなか、なかなか。 省略だけではなく、語用論的なことも チャートなどを使っていてわかりやすいです。 何かしらの研究の刺激にもなるでしょう…

時間の「トコロ」文について

ことばがドリフトすることは言うまでもありませんが、 その移行は種々の仕方がありえます。 で、ノーマルなのは具体的から抽象的に進むベクトルです。 そういうわけで、「トコロ」をみると、場所という意味が本来なのですが、 「今、ご飯を食べたところです…

マンガの形式は世に添えるか

日本の経済が地に落ちよう(まだまだ落ちてないけど)と、 政治が素人の集まりであろうと(こういう時、危ないのがポッと出てくるのだ)、 日本にはマンガが存在する。 しかし、左開きだけでいいのかも、検討されてしかるべきだと思う。 マンガはもはや日本…

DNA的なことではない

日本は島国で、ずっと鎖国をしていたから、 日本人は対外的な外交が出来ないといわれています。 または、島国で外から攻められることが 少なかったからうまくネゴシエーションができないとも 言われています。 日本人はガラパゴス諸島の動物とは違います。 …

2つのやさしさ

「優しさ」には2つあると思います。 1つは「強さ」から、もう1つは「弱さ」からくるもの。 強さから来る優しさは「親切」につながります。 弱さから来る優しさは「意気地なし」につながります。 かつて日本には上の2つが存在していて、戦争でまけたからか…

無標と有標

Aこれは本です。 Bこれが本です。 通常、Aが無標でBが有標になると思います。 しかし、文脈があると、それにしたがって無標か有標に分かれます。 つまり、言語形式、文脈それぞれに標識がことなるということになり、 下で示した4通りがあります。 言語形…

イベント 行事

イベントと行事はは近い意味で、どう違うかは以前書きました。 <再考 ・イベントは主催者がいる。fan、楽しみがある。 ・イベントは上位概念で行事とパーティーが下位になる。 ・パーティーはプライベートで、行事はパブリックに入る。 ・行事には定期、不…

ローカル教師と母語教師

最初から結論を言うと1年次の スタートから母語教師を投入するべきです。 前のところでは始めの1年がローカル教師1本で、 2年になって初めて母語教師が出てくる。 それは、母語教師はローカル語がわからず、ひるがえって 学生は母語教師の授業もわからないだ…

勉学の快楽

新しいことをするとき、誰でもがウキウキし、モチベーションが高いものです。 しかし、日がたつにつれ、目がかすみ、ココロが離れていきます。 語学なんか、それの筆頭与力(意味がよくわかりませんが、使ってみた)です。 それで、その学習をどうにかして継…

漢字に時間をかけてはいけない!

非漢字圏の日本語学習者にとって「漢字」は悪魔の化身みたいなものに 思われている節があります。能力試験のN2(何だ?この呼び方)程度は 千ぐらいの漢字が必要で、学生から見れば数万の雹が頭に降りかかってくるように感じていることでしょう。 しかし、…

寛容は恐怖の代償

Aさんは自分の意見を持っている。変えない(変える必要性を感じない)。 Bさんは周りが動いてから考える。日和見(A,Cからコウモリとして認知)。 Cさんは自分の意見を持っている。ゆるぎない(変えることを知らない)。 AとBは敵対するかに見えるが…

「白い」と「白」は同じか?

日本語教育でおなじみの「イ形容詞」と「名詞」の違いです。 一般的な日本語のテキストでは色は、 「赤い」「白い」「青い」「黒い」「黄色い」そして「茶色い」 (某テキストでは「茶色」が名詞で出てきます。その意図を探しましたが、 さっぱりです。もう…

否定

最近、否定に関する本が出て、読みたいなあと思ってるんですけど、 目の前の問題の本が多く、読めません。残念。 RVRでマラドーナの話をしていたんですが、 そこでのマラドーナのコメントに対するRさんの言葉がフォーカスでした。 話はこうです。 W杯でマラ…

物語教授法Ⅱ

「に」は動詞(それこそ同士)と仲がいいのですが、 形容詞とは仲が悪いことを述べました。 でも、「東京は横浜に近いです。」はOKです。これいかに。 けれども、*東京は大阪に遠いです。はダメです。 ここで、マレーシアの学生はこの教授法を不審に思うわ…

物語教授法

無気質な助詞。どうやってそのものの存在をアピールするかは 私が編み出した「物語教授法」(沢山考えようと思ったが、飽きたからやめた)が最適でしょう。 例えば、A この教室には学生が大勢います。 B この教室は学生が多いです。 B‘*この教室には学生…

私は先生ではありません。

否定は初級から提出されています。そこで問題になるのが、 「ではありません」「じゃありません」「じゃないです」。 でも、ここで問題にしたいのはコレ。 A:あなたは先生ですか? B:いいえ、私は先生ではありません。学生です。 初めて見ると「なんじゃ…

タイはイヌで、マレーシアはネコ

日本の学校にはいないものでマレーシアの学校にいるものはネコでーす。 エサをやる講師の部屋の前を陣取っています。やはりなわ張りもあるようです。 それから、カラスでーす。うようよいます。キャンティーンの食べ残しを数羽で周りを偵察しながら、 食べ…

「じっぷん」「じゅっぷん」

10分はどちらが正しいか。 ジップンが正しいのです。と胸を張って言うのは日本語教師と オールド国語教師ぐらいでしょう。誰にエバッテるんでしょうか、考えてください。 日本語を教えるというのは由緒正しいお言葉様をさし下げる(「あしあげる」の反対)…

まね

以前から、なぜほとんどの日本語教科書が同じような文型のならびになっているのかと疑問に思っていました。 その並びは英語の教科書の並びと同じなんですね。数十年前ブリッティッシュカウンシルで英語を勉強したとき、発見しました。若干の違いは日本語には…

できる、できない

一般的に年齢が増すごとに語学の習得が悪くなるといいます。 でも、専門家はこれを否定するか、あやふやな言い方をしています。 どうしてでしょう?自分がその年齢(いわゆる老人)のたぐいに入っているからでしょうか。 でもですね。よく考えると、そんなに…

リストかルールか?

語学の学校のやることと言えば、 目標言語の規則を教えることでしょう。 日本語の場合、「テ形」「辞書形」「『そう』のつけ方」など。 例えば、「テ形」。 学生は、教えた数日は教師が教えた規則からテ形を導きますが、 数ヶ月すると規則としてではなく、記…