2007-09-01から1ヶ月間の記事一覧

激突する推意

人が会話をするというのは情報の伝達が中心であると考えられている。しかしながら、通常の会話においては親和性(ラポート)の確立のための会話が多いようである。 挨拶や天気の話などがそれにあたり、それ以外でも情報の交換とはいえないものが散見される。…

影の内3

金谷は疲れていた。もうどうでもよいと思った。大下の部下たち、通称バラシヤにかかることは、蜘蛛につかまった昆虫とおなじである。 任意から取調べに移ってから2日目の朝、宮田は警視庁特別取調室別室に向かう。 宮田は直接迫田に電話をしてもつながらな…

珍回答

おとといから期末試験です。試験監督しています。これほど面白くない時間はありません。 何もすることがないので、学生の顔をしげしげと見ています。学生と目が合ったりすると、もはやヘンタイです。ま、女性が多いですから。 採点もします。いろいろな答え…

影の内2

任意同行を求めたのは警視庁であった。警察庁に連絡が入ったのは報道後のことであった。 宮田を始め警察庁捜査部はまさか!何で?という声が大半であった。ホシのマークから外れていたからである。 宮田はさっそく迫田の部屋へ。部屋に入ると迫田は真っ青な…

影の内1

お子様をお持ちの方は不快になると思われる箇所があるかもしれませんので、このタイトルの際はとばしていただいことを望みます。もし、それでも不快であれば、ご一報ください。すぐに削除いたします。 この事件は迷宮入りになると思われた。しかし、2度目の…

薄化粧

小学生の低学年のときだと思うが、12月の終わりごろ家族で近くの温泉に行った。 初めのうちは目新しいので温泉に入ったりロビーで走り回ったりしたが、ゲームもなければ遊び場もないためすぐに飽きてしまう。 しかたがないので廊下で一人で騒いでいると、母…

語用論と意味論Ⅱ

それでは… 1、部長の田中です 通常、例文1は「部長=田中」である。つまり意味が1体1で対応し、意味論で解釈される。しかし、文脈を与えると、 <田中さんが2人、課長が好きな田中さんと部長が好きな田中さん> 2、A:どっちが女性? B:部長の田中…

語用論と意味論1

意味論と語用論の問題が最近浮上している。 どこまでが意味論でどこまでが語用論か、どちらかがどちらかを包摂しているのか。この問題は研究者によっても違い、言語学の発展のためにはハッキリとした定義が必要であると思われる。 1、大学生の田中君 通常、…

Think Global,Act Local

南米・アンデス地方の先住民に伝わる話である。 森が燃えているとき、ハチドリだけがくちばしで水のしずくを一滴ずつ運んで火の上に落としていた。 そんなことして何になる と笑う動物たちにハチドリが言う。 私は、私にできることをしているだけ 大儀の知ら…

天使の傘

昨日、図書館の傘立てにビニール傘を置いといたらなくなっていた。しかたがないので誰かのビニール傘を借りて帰った。 途中買い物するのにスーパーに寄った。店先の傘立てに入れて、買い物を済ませると、また傘がなくなっていた。 代わりに誰かの傘を持って…

或る日常Ⅷ

朝10時頃、下の階がうるさいので目が覚めた。ユウヤがまた騒いでいるようだ。家は広いが隙間だらけなので矢鱈とよく声が通る。 おじちゃん、まだ起きてこん と母である姉に言っている。 僕はせっかくの休みなので昼まで寝ていた。昼頃腹が減ったので下に下り…

言えそで言えない

ある村では秋になると、収穫物をねらって大蛇が山から下りてくるそうな。それで、村では大被害を受けている。村人が寄り合いで決めたことは、娘を大蛇に差し出すことで収穫物を食べないようにお願いをすることとなった。最初は勘輔どんの娘が選ばれた。それ…

或る日常Ⅶ

休みの日、部屋で寝ていると下の階からユウヤの泣き声が聞こえてくる。 また叱られているな と思いながら昼まで寝る。昼過ぎ頃腹が減ったので台所に下りてくるとユウヤは金魚のフンのように母親の後に付いて歩いているのが見られる。 最近ようやく歩けるよう…

或る日常Ⅵ

ようやくユウヤは立つことができるようになった。柱につかまりながら腕の力でジワジワと立つ。これで腕の筋肉が鍛えられるのだ。 僕が台所で夕飯を食べているときに必ず僕のところへ来て立とうとする。こちらからすれば倒れて頭でも打つんじゃないかと気が気…

ハイの反対はイイエ?

「ハイ」「イイエ」は反義だと思われている。しかしこの間ラジオでこんな会話を聞いた。 司会者 A:○○さん、ありがとうございました。 レポーターB:はい、いいえー 「ハイ」なのか「いいえ」なのかハッキリしろと言いたいが、これも日本語なのである。「…

或る日常Ⅴ

会社が休みのときは昼過ぎに起きる。台所で新聞を読みながらコーヒーを飲んでいるとユウヤがやってくる。 歩くのでもなく、ハイハイでもない。後ろ足のないワニが進むごとく体を引きずってくる。見るもの、動くものがすべて珍しいらしく僕もその対象になって…

或る日常Ⅳ

会社からの帰りの電車は本当に腹の立つやつが多い。 2人でボックス席を占領したり、イヤホンから聞こえる大音響、中年サラリーマンのばかでかい声で話すケータイ。どれもがストレスのもととなる。 最低限のマナーも守れない人間がこの世界をダメにしていると…

或る日常Ⅲ

姉が帰ってきた。ユウヤも姉のそばの赤ちゃん用のベッドに寝ていた。少し赤みがとれていた。姉はその日体調が悪いということで夕飯を作らなかった。 仕方がないので近くの居酒屋へ行った。「幸房」というところだ。この不景気でいつつぶれてもおかしくないと…

或る日常Ⅱ

1時間ほどでユウヤが取り出された。すぐに赤ちゃんのたくさんいる部屋に連れて行かれた。どうやら姉も無事だったようだ。 この時はまだ名前がついていなかった。初めて名前を聞いたとき、なんだ、それ?と思った。姉の名前も夫の名前も全く入っていなかった…