2007-05-01から1ヶ月間の記事一覧

旅恥7

暑さで目が覚めた。11時を過ぎていた。こういうところではチェックイン/アウトがいいかげんなので延滞料をとられることはない。 今日も無意味にいい天気だ。水シャワーで頭をすっきりさせる。最初の20秒は熱いお湯がでるので要注意だ。シャワー用のタンクが…

Xに言われても構文

えーと、 A「僕に言われても、困るな」 上記の文はいかなる状況であろうか。話者に対してどうしようもないことを言われたときの発言だろうと思われるが、何か文法的におかしいことに気づかないだろうか。 この文は受身文が使われている。受身文は与格(つま…

旅恥6

案の定、フロントは寝ていた。僕はここは始めてであるが、いつもの部屋は空いている?と聞いた。ああ、すいません。ちょっとまってください、えーと、この部屋はokです、とフロント。成功だ。ただ部屋があるかと聞いただけでは断られるだけだ。野宿しなけれ…

夏(終)

夏は初めと終わりが好きだ。暑さとはどんなものだったか思い出させてくれる初夏。何かやり残したことがあるようなアンニュイな気分にさせてくれる晩夏の風。でも、大体は特になにするわけでもなく夏は終わっていく。 下の叔母ミサの家でうるさい、ほんとにう…

夏(中)

奥の部屋には祖母がねむっていた。明日葬式である。ここでは古いしきたりがまだ残っており,遺体を一端山に運び山の神にお祈りしてから街をねり歩くのである。 上の伯母は明日の葬式にわざわざまた来なくていいからここに泊まればと言っていたが母は下の叔母…

夏(前)

4歳ぐらいだったと思う。母は僕を連れて夜汽車に乗った。父とはホームでわかれた。なぜ父も乗らないのか不思議だった。 トンネルに入るたび僕は喜んだ。夜だったので景色は見えなかったが興奮していたのを覚えている。しかしいつのまにか眠ってしまった。 清…

旅恥5

助手席男は自分の力を誇示するかように後部座席に座っている僕に向かって、意味の分からない英語でがなりたてている。宿屋のマージンが入らなかったからだ。また金をくれと言い出した。 やれやれ、僕はじっと耐えた(村上春樹風)。ヤクザでいうと真っ先に殺…

ドウゾ ヨロシク

たいがいの初級日本語教科書の1課にはこんな会話が出てくる。 <○×学校構内で> A:すみません、Bさんですか。 B:はい、そうです。 A:私はAです。○×学校の学生です。どうぞ、よろしく B:わたしはBです。どうぞ、よろしく。 上の会話はおかしくな…

旅恥4

バスは大通りの何もないところに停まった。街中に停まると思っていたので宿を探すのが面倒だなと思った。バスが着いたとたんにシクロ(自転車タクシー)のおやじやらタクシーの運ちゃんやらが寄ってきた。バスを街中に止めずに何もないところに停めた理由が…

アンニュンハシムニカ

お墓参りはいいものである。心が安寧になるというか…心のコアの部分が暖かい両手で包み込まれるような…コトバではうまく言い表せないがそんな感じである。 お盆も終わりに近づき故郷での思い出を土産にUターンラッシュが始まる。そしてまた日常生活の方言へ…

旅恥3

フェリーに乗って数時間やっとのことで着いたメダンは真っ暗だった。夜中になっていた。まいったなあ。 このような旅では宿は予約などしないで現地に着いてから探すものである。当然予約システムなどありはしない。その上、夜となっては泊まらせてくれない宿…

言語学者は天才なのだ

「ジョンがその仕事にメアリーを向いていないと思った」(Hirakawa2001) この文正しい?正しいことになっているんです。というかこの人は正しいと思っているのです。 「ジョンが向いていないと思ったのは、ジョンがその仕事にだ」(Koizumi1995) どうでし…

旅恥2

インドネシアといえばバリ島である。海はそこそこ綺麗だし、食べ物は日本人に合い辛くもなく酸っぱくもない。それになんといってもエキゾチックである。まあ、物価は高い(日本で有名なリゾートは往々にしてその国で一番物価が高い)が。 しかし気をつけてい…

君に伝えたいこと

コトバは意を伝える手段である。非母語話者であろうと小さな子供であろうとその手段を知っていれば意味は聞き手に自ずと伝わる。 意味論では表明された発言の言語形式を命題となり、発話は命題を伝えるという立場で研究が進められてきた。要するにコトバの意…

旅恥1

以下は、10数年前に行ったインドネシア体験談です。一回ごとに読みきりになっています。時々入れて行きます。 マレーシアに住んでいるころ祭日になれば旅をしていた。ちょうどチャイニーズ・ニューイヤーだったのでインドネシアのスマトラ島に行くことにした…

エゴの集団

以前は電車通学(通勤)していた。電車内ではいろいろな人がいた。その中である傾向を見せる人々がいる。 まずは「迎えに来いコール」をする人々である。彼ら/彼女らは座席につくなりケータイを取り出し「オレ、6時20分、お願い」と用件のみをサッと話し…

フツウ

最近「フツウ」というコトバが普通ではない。 [ふつうにおいしい」「ふつうにヤバイ」という副詞的使用に限られるが辞書で扱っている項目には見当たらない用法が見られる。 『広辞苑』(第三版)では々く一般に通ずること△匹海砲任盡受けられるようなもの、…

恍惚

以下は、ボクが以前に書いたものを加筆・修正したものである。 寓話にこんな話がある。 サソリは川を渡って向こう岸に行きたかった。サソリにはヒレもなければエラもない。困ったサソリは目の前を気持ち良さそうに泳ぐカエルにたずねた。 ねえ カエルさん 僕…