旅恥16

 目が覚めた。全く後遺症がない。晴れやかだ。今日もここに泊まろうと思ったが気分のいい内にここを発ったほうがいいと判断した。

 旅立つにあたって朝飯を食う。食パン、ハムエッグ、コーヒーにコーラ。4日間だけだったがいろいろ面白かった。

 部屋を出ようとするとき、ここを紹介した彼が部屋の前にいた。ノックして部屋に入ってくればいいのに彼はずっと僕が部屋を出るのを待っていた。

 おはよう
 おはよう ってもう昼だね。
 もう行くの?
 ああ
 どこに?
 ニアス島
 ああ、そう  また来る?
 うん、たぶん また会えるね
 来週、シンガポールに行くんだよ
 へー、よかったね
 ああ、  

また彼はにや笑いをした。本当は行きたくないんだな

 それじゃ
 それじゃ

連絡船が来た。ローズホテルの跡取りのようにすぐに引きもっどてしまうと思ったが、小さくなるまで彼は船を見送っていた。この国がわからなくなった、誰が一般的なインドネシア人か。

 とにかく、彼には幸せにいてもらいたいと願った。

 ニアス島に行く。2年前マグニチュード8の地震とツナミがあったところだ。当時はそんなことが起ころうとは夢にも思わなかった。そこはサーフィンには最高の波の来る穴場だった。  …続く