旅恥21

 昼前に起きる。コーラを飲みながら今日何をするか考える。特に無し。卓球をしたいが客のほとんどがサーフィンへ、そして従業員のみんなが昼寝をしている。

 少し歩いたところにレストランがあるのでそこでミゴレンを食べる。ビールを飲む。なにもすることがない。帰ろうかな。

 思い立ったが吉日。荷物(少々の衣類だけ)をまとめて部屋のキーをフロントに置いていく。宿を離れて思い出したが、スマトラに行く船は週に3便で今日は出ていない。アイヨー!

 また戻るのも面倒なので海岸に沿って歩いた。海の家兼宿屋があったのでそこに泊まることにした。フロントもなく海の家が実質のフロントとなっている。

 呼ぶと女性が出てきた。日本人かと聞かれyehと答えるとウチにもいるよと後ろにある屋敷に入っていった。その屋敷は豪華なつくりであった。日本人が出てくるかと思ったが現地の男が出てきた。

 日本から来たの?  流暢な日本語で話し出した。
 マレーシアだけど…   僕は海外で流暢に話す現地の人は信用しないことにしている。
 オレ、昨日帰ってきたんだよ 日本から
 そう。商売してんの?(別に聞きたくもないが…)
 貿易の仕事とか色々ね
 色々って? 彼は聞いてほしくなさそうな顔をした。
 ああ、それでこんな大きな家を建てたんだね
 大変よー  外国人特有の終助詞の使い方。

 何をして儲けているのか知らないが大金を掴んで帰ってきたのだろう。来月にまた日本に行くそうであるが、旅をしていると時々こういう人に会う。

 こういう人は時々現地の人を見下した発言をする。

 こんな島にいてもどうしょうもないよ バカになるよ

 現地の人に日本語でこう言われると、もしかして自分も心のどこかで旅先の人を見下しているかもしれないと感じる。反省。

 でも僕は、それ以上にその男を見下している自分を発見する。