前回は、語学教師の役割について書いた。コミュニケーションにあまり関わらない文法項目は目くじらを立てて学習者に直させる必要がないのでは…ということを書いた。
それでは、コミュニケーションに必要なこととはなんであろうか?
その言葉をを聞いてカチンと来る表現であろう。例えば、
T:Sさん、来年は国へ帰りますか。
S:知りません
どうですか。Sの発言からなにか拒絶されたような感じを受けませんか。「そんなこと聞くなよ」みたいな。通常、来年のことを言うと鬼が笑うではありませんがそこまでは予定が未確認の場合、「わかりません」または「ちょっと、わかりません」と言うのではなかろうか。
「知りません」「わかりません」は似通った言葉なので、こういう状況を捉えて説明しなければならない。英語話者には「知りません」はDon't Knowで、「わかりません」がDon't Understandと訳があるので、きわめてクッキリと違いが認められるように感じる。
しかし、実際には上のような発話の誤用(聞いて違和感を感じる発言)ガ見られる。「わかりません」は「理解できない」よりも広い意味を持っている。
神尾の提案している「なわばり理論」でいくと「話者のなわばり(領域)」のことに関して「知りません」を使うと無責任な発言だと捉えられやすい。聞き手は違和感を感じるのである。
「知りません」は話者の領域以外ということにもなるが、それは次にて。ジャンジャン。