The EKIBEN

何年か前に書いたものです。今でも、そのときのパッションが伝わってきます。

 駅弁を食べたことがありますか。普通は駅の中で食べるものではなく電車の中で食べるので、正確には電弁かもしれません。

 駅弁(「駅弁」に統一)はちょっと割高だが旅の情緒が出ていいものですね。しかし出張帰りのサラリーマンが駅弁を、ビールを飲みながらかっ込んでる姿は若干わびしさを感じさせずにいられません。

 ご存知でしょうか。最近温かい駅弁が食べられます。弁当の側面にヒモがついていてそれを引っ張ると弁当の中で化学反応をおこしすぐに温かくなるしくみです。白い湯気が立ちこもるほどです。

 化学反応といってもお米やキンピラが反応を起こすのではなく底の部分にそれ様(用?)の部分があり熱を作り出すのです。

 推測ですが、湯気が大量に出ることから水があるのだと思います。しかしながら食べる頃には水がなくなっているという事実があり、謎に包まれたミステリーゾーンの気配もしてまいります。


 そこで探検隊(一人ですが…)はその駅弁の謎に迫るべく「長野自慢幕の内弁当」1000円プラス消費税を買うに至ったのであります。まずは通常読まない説明書を穴のあくほど読み、おもむろに弁当側面の白いヒモを引き抜きました。プスプスプププーという音が電車内に広がった!

 一瞬にして白い湯気が、壷の中からハクション大魔王が出るごとく座席一面に舞い隣の座席の人の白い目までももらうことに相成ったのであります。

 ここでフタを開けてしまうと隣の人だけではなく周りにまで、鳥インフルエンザのごとく(2回目)波及することは必須であるのでじっと2分待たなければなりませんでした。

 ようやく落ち着いた感を感じるや否や駅弁をビールで流し込み、むさぼるように、何を調べるのかも忘れ、ただひたすらに体内に吸入していきました。

 というわけで駅弁の謎は解かれずじまいでしたが、いつかきっと志の高い人が継承し険しい駅弁の道を切り開いてくれると願ってこの章を閉じたいと思います。