心理テストの前提

 心理テストでよくあるのが「離島に一人取り残されることになりました。なんでもいいからひとつだけ持つことができます。それは何?」というものだ。

 それでABCの中から選ばせその人の潜在的な志向がわかるという。本当か~?そんなんでわかるか~?この手の心理テストにはたくさん問題がある。

 まず、そのシチュエーションに対しての可能性である。なんで離島に残されなければならないか。罪を犯して佐渡の金山で働かされるからか。TVの企画物か。世を捨てて一人でこもるのか。色々考えられる。

 明確なシチュエーションを提示しないと一定の答えも得られない。つまり曖昧な質問の答えは曖昧にならざるをえない。

 もうひとつは答えの問題である。A好きな本 B好きなCD Cケータイ など。あくまでも一つだけならBのCDは聞けないことになる。プレーヤが必要だし、イヤホンも必要だろう。重要なことは「その離島」に電気が通っているかである。なかったら、電池も必要となりCのケータイも怪しくなってくる。

 ではAの本ならいいか。否であろう。人が生きていくうえでなにより必要なのは食料と水であろう。この質問には食料や水があるということになっているのか。そう考えるとまた、最初の疑問に行きつく。質問の曖昧性である。

 「離島」とはどんな所かわからない。食べ物があるのか、寒いのか、暑いのか、大きいのか、他の動物がいるか、木などの燃やすものがあるか等‥。

 しかし、ほとんどの人はそんなふうに思わないかも知れない。もしその質問は曖昧だ!という人がいたらその人は煙たがられるだろう。そのような質問は選択肢を選ぶという、または選ばなければならないという「前提」があると考えられる。

 ここでの前提とは「一般的な方法論であるとだれもが思うであろう推測」である。質問者もABCのいずれかを選んでくれるだろうという前提があり、受け手も少しの曖昧性は捨象して選ばなければならないという前提を持っている。

 会話においても上記の曖昧な質問のようにだれもが前提をもって話を始め、続け、終わっている。しかし、それはあくまでも前提という推論のため聞き手が同じ前提に立っているとは言い切れない。

 だから上の心理テストに難癖をつけるヒトもいるのである。いないか~~。いないだろうな~