影の内2

 任意同行を求めたのは警視庁であった。警察庁に連絡が入ったのは報道後のことであった。

 宮田を始め警察庁捜査部はまさか!何で?という声が大半であった。ホシのマークから外れていたからである。

 宮田はさっそく迫田の部屋へ。部屋に入ると迫田は真っ青な顔をしていた。

すぐに記者会見が始まるから、と何の話もせずに部屋を出る。

 迫田は捜査を部下に丸投げしており、「幸福房」店主金谷を任意で引っ張ってきたことは今朝知ったのである。ましてや報道が騒ぎ立てている。

 宮田は上には目が利くが、部下の名前も覚えていないぐらい疎かった。宮田は部下の大下を呼び、経過を説明させた。

 大下:間違いないと思われます。金谷の店にはM家は1ヶ月に一回は通っている。そしてY君を知っている。金谷は従業員を雇い彼らに店を任せていたが、犯行の2ヶ月前にお金もろとも逃げられています。借金はかなりの額であるはずです。

 迫田:それだけか。
 大下:は?
 迫田:それだけかと聞いているんだ! 宮田はいらっだっていた。自分が関与せずキャリアに傷をつけかねない事態に護身のみが感じられた。
 大下:代理、逮捕じゃないんですよ。あくまでも任意の同行です。
 迫田:しかし、新聞は逮捕としているんだぞ。
 大下:それは完全なブンヤさんのミスですね。
 迫田:…
    めぼしはつきそうか。
 大下:間違いないと思います。
 
 迫田は記者会見を開き、まだ犯人はつかまっていないことを強調した。

 子飼いの大下の部下が取調べを行う。彼らは通称バラシヤという。彼らの手にかかると誰でも簡単にはいてしまうことからそう呼ばれている。 -続く-