王と長島

 小さい頃から野球はやってきたが、プロ野球はあまり見なかった。

 しかし、王貞治の世界ホームラン記録は非常に気になった。王の後期は年齢による衰えが見え、ハンクアーロンを超えないのではないかとも言われた。

 何とか世界一になったが、そのことを今の若者は知っているのであろうか。

 音楽界でいうならモーツアルトが長島で、ベートーベンは王であろう。モーツアルトは絶大な人気があり、才能に恵まれていた。そして色々な逸話を多く残している。長島に通ずるものがある。

 ベートーベンはストイックで、彼もまた実力があり、孤高の人である。しかしながら、最新の方法を使うなど温故知新の面もある。

 世界の王でありながら長島に隠れて表に出ていないような感がある。

 モーツアルトとベートーベンは同時期の人でモーツワルトのほうが年上である。まだ若い頃のベートーベンはハイドンに音楽を教わりながら、モーツアルトの家に泊まりに行ったことがあるそうである。

 王と長島の歳はそんなに離れていないが、同じような関係があったであろう。

 何はともあれ、今の日本のプロ野球の象徴となる二人には長生きしてもらいたい。王はWBCも監督を務めてたが、どうもパッとしない。選手を十分に把握していないように思われる。

 長島が病気で倒れなければこの監督をやっていたであろう。そして長島も選手を十分に把握していないだろう。でも、長島はそれでもいい。長島は存在していればいい監督で求心力でなぜかうまくいったりする。

 王にはそれがない。たたき上げでやってきた人の弱みでもある。こつこつと野球に取り組む姿勢は艶やかさはないが、それは本当の日本人の気質ではないだろうか。あまりにも日本人的で目立たないのではないだろうか。