普通の語彙感覚

初級の教科書の前半で必ずでてくるのは
「親切」。それで学習者は下のような文を作ります。
 
①私の母は親切です。いつもお菓子を焼いてくれます。
 
一般の母語話者にはどこか変に感じるでしょう。でも、
日本語教師(特に経験が長い人)はごく普通で、何がおかしいかさえわかりません。
 
それから、「病気」。
 
②田中さんは病気ですから、今日は休みです。
 
一般の母語話者には「病気」ということばはとても重いものです。通常②は「風邪をひいた」とか
「気分が悪い」というところでしょう。それでも、日本語教師は何がおかしいのかわからない。
 
多分、母語話者の日本語教師ぐらい言葉を考えない人々はいないでしょう。
 
「ことばを考えない」とは言語形式(form)と意味(meaning)だけ理解して、
どう使う(When/Who/how to use,)ということは考えようとしないことです。