旅恥9

 昼過ぎにランチタイム休憩にはいった。僕は速攻でレストランのトイレに向かった。当然トイレットペーパーなどない。自然から開放され安堵のため息をついた。
 
 トイレを出て、タクシーで隣に座っていた学生の前に座った。何を食べようか決めようとするうちに店の人がテーブルいっぱいに小皿を置きだした。学生が注文したのかと思ったが違った。インドネシアの安食堂では昼食は主にセットメニューのようになっている。

 小皿に入った魚や肉やわけの分からないものは全部食べる必要がなく食べたいものだけを食べて、その分だけ料金を払うシステムになっている。僕はコピアイス(アイスコーヒー)とコーラを注文してほとんど食べなかった。

 コピアイスは頭の回転をよくするためで、コーラは体力維持のためである。学生のころ旅に出ると朝昼はいつもコーラしか飲まなかった。疲れを取るのに時々はチョコレートも食べた。それで一日中街を歩き回っていた。 
 
 もう大人なのでコピアイスも頼む。大人だから。前に座っている学生は日本人は昼ごはんを食べないのかと聞いてくる。外国に出ると自分の行動が自分の国の人々の行動ととられがちである。つまり僕が昼ごはんを食べないと日本人みんなが昼ごはんを食べない人種だということになる。

 だから日本人が海外でスケベなことをすると日本人男性全員がスケベだと見られる。  
  
 ホテルやレストランの壁によく飾られている鳥の絵が気になっていたので聞いてみた。ガルーダといって架空の鳥で国の象徴だそうである。ガルーダがこの国を守っているそうだが、このスマトラはご存知のように第二次大戦の決戦区であり、毎年起こる地震津波の地であり、去年起こった飛行機事故の地でもある。ほんとに守っているのかなあ。

 昼食を済ませ出発。目指すはトバ湖の中洲にあるサモシール島。島には宿泊施設もあり、なんと、なんと山の中腹にあるのでこの地は非常に涼しいところだそうだ。もしかしてフトンを首までかぶって寝られるかも?期待大。