いい人なんだけど…
初級の日本語学習者に日本語を教える時「~ガ」は逆接であると教える。しかし、「ガ」は逆接だけではない。
おなかが痛いんですが、早退していいでしょうか?
映画見にいくんだけど、一緒に行かない?
上の文は逆接になっていない。前置き的な発話である。また、
おなかが痛いですから、早退していいでしょうか? は順接と呼ばれる「カラ」が使える。また、
太郎は背が高くて/高いが、次郎は背が低い という文は逆接、順接どちらも使える変な文である。
逆接や前置きと決まるのは場面と文を会わせた状況で決まる。つまり「ガ」は逆接に聞こえたり、前置きに聞こえたりする効果があるというだけである。
ではでは「ガ/ケド」とは何ぞや。語用論から見ると談話標識といわれるものである。「ガ/ケド」の後の発話は重要であると聞き手に言っている。従属節が「地」で主節が「図」となる。従属節を参照しながら主節を聞いてね!となる。
上の文は『早退したい』が言いたいのだよと聞き手に伝えている。その例証として「おなかが痛いんです」を持ち出している。そうすると「ガ/ケド」の前にくっ付いている文は前提であったり、従属的なことがらであることを言うことになる。
A:出身は富山? B:いえ、違いますけど/違います
「ケド」の後ろは重要だとすると、前は重要じゃない。「違います」はキツイですね。でも「ケド」を付けるとほらこの通り。つまり、ケドを付けて重要性を弱化させているのだ。
よく見ると上の文は「ケド」の後ろがない!!大変だ!と慌てなくても大丈夫です。後ろは聞き手に補ってもらいましょう。そのほうが効率がいいでしょう。このような発話は日本語でよく見られます。例えば「おなかが痛いんですが…。」は「いい処置を任せます」と言っているなと聞き手は文を補ってくれます。
イイ人なんだけど…。と自分のことをA子さんが言っていたら、どう推測する?