終助詞のネはよく聞き手との意見の一致を志向しているといわれている。
1、これ、あなたの本ですネ
上の例では話し手が相手の本であろうと検討をつけて質問したと考えられる。もし相手が該当者の一人ならば「ネ」ではなく「カ」が選ばれる。
つまり話し手は相手が「はい」と言うことを想定しているということであり相手の認識と一緒になろうとしているといえる。
2、いい天気ですネ
上の例でも相手の「そうですネ」を期待したものであり、相手との心の一致を望んでいる。心の一致とは「私はあなたの敵ではなく仲間だ」という協和的な発話であると考えられる。
2’A:いい天気ですね
B:*そうです / そうですネ
またよく言われるのが、聞き手の情報量が多いとネが使用されるというものである。1がそうであろう。しかしその反例はすぐ見つかる。
3、〔病院で〕医者:風邪ですネ
上の例では医者のほうが情報量が多いのにネが使われている。この例を「排他的情報管理をしないことをマークするネ」とする学者もいるが、医者は自分の情報が確固たるものではないと言っているようには思えない。
4、〔反論者に〕違いますネ。その意見
上の例でも反論者に対して突っ込んだ意見が欲しくて言ったのではない。排他的な情報の量とは関係のないものだと考えられる。ましてや聞き手の認識に一致させるための発話だとも思えない。
では、ネは何かは次回に、お後がよろしいようで…