「ハイ」「イイエ」は反義だと思われている。しかしこの間ラジオでこんな会話を聞いた。
司会者 A:○○さん、ありがとうございました。
レポーターB:はい、いいえー
「ハイ」なのか「いいえ」なのかハッキリしろと言いたいが、これも日本語なのである。「ハイ」は「わかりました」で「イイエ」が「そんなことがありません」であろうか。
お礼のコトバの返答は普通、下の例文のように「イイエ」であろう。
C:どうも、ありがとうね
D:いいえ、どういたしまして
だが、「イイエ」のみじゃなく下の例文のように「ハイ」もいいようである。「ハイ」と同義の「ええ」は使いづらい。
E:どうも、ありがとう
F:あっはい / *ええ
ということは「ハイ」にはyesの他の意味があるということだ。下の例文を見てもらいたい。
客 G:これは3000円ですか
店員H:はい、3800円です
客の予想が外れているにも関わらず「ハイ」が使われている。これは肯定とはいえないのが分かる。しかしながら店員が「いいえ、3800円です」と言えばどうだろう。
客は若干傷つくだろう。要するに「ハイ」はPositive Politenessといわれているもので聞き手を考慮したコトバである。相手の発話の意をくんでいることを表す「ハイ」である。
よって先のAとBの会話に見られる「ハイ、イイエ」は「あなたの感謝の発言を受け取った。でもわたしは(あなたのために)十分なことができなかった」ということになる。そうであるから「イイエ、ハイ」の順番にはならない。
上司:助かったよ
部下:*いいえ、はい
この順番になると部下は「社会的に「いいえ」と言ったがやはり僕が助けてやった」という意味になる。今の若者なら許容される発言かな?