ビーール!!

 ベートーベンはワイン党だったが、モーッアルトはビール党だったようだ。現在のビールとは違っていたであろうが、ビールを飲むときの気持ちは変わらないだろう。

 最初にビールが本当においしいと思ったのはバイト先だった。泊り込みのバイトで夜は必ず酒盛りをやった。

 バイトはリムジンバスのチケットを売ったり荷物に札をつけるもので、成田空港からの最終のバスが夜の11時ごろに東京駅に着いた。それから翌朝また成田行きのバスが朝の5時出発なので仮眠を少しとって受付をしなければならなかった。 

 夜、疲れて事務所に帰ってくると既に何人かが飲み始めている。みんな酒好きだった。本当においしそうに飲んでいた。そして本当においしいと思った。

 また、みんなで近くの温泉などに泊まりに行くと宿に着くなり飲み始めた。当然朝起きてからも飲んだ。アルコール漬けだ。

 話変わって、タイのコサムイに行ったとき、ボーッと海を見ながらビーチで飲むビールは最高だった。飲んだビールの水分は全て汗に変わり、ビールのエキスが体にたまっていくのがわかった。

 ビールはビーチで売り歩いている売り子から買った。若干ぬるめのビールが異国情緒があり、これまた良かった。

 フィリピンのセブ島ではバケツに買ってきたビールをみんな入れて、それから氷を2、3個入れて生暖かいものを現地の人と回し飲みした。現地の作法らしいがあまりおいしくはなかった。5人で2ダースぐらい飲んだ。

 マレーシアの地方に旅をしたときは苦労した。地方はイスラム教徒が多くアルコールは宗教上飲んではいけない。だから店にも売っていない。ビールを求めてフラフラと華僑の店を探さなければならなかった。

 華僑の店には必ずビールがあるので、見つけたときは少年の時のエロ本を手にした喜びと同じになる。我慢できず店先で飲んだものだ(エロ本はちゃんと家に持って帰りましたが)。でもこのときは味わうと言うよりも発作を止める感覚かもしれない。

 いずれにしろどこに行ってもおいしいビールを飲めることは幸せである。