2つの言葉とこども

 日本国内での日本語を母語としない外国人の子どもの教育が最近問題化している。

 祖国で一度結婚して子どもを産み、離婚して日本人と結婚するなどして子どもと一緒に日本に来るケースや、出稼ぎの両親に伴って日本に来るケース、または海外勤務先で現地の女性と結婚し子どもが産まれ、数年後に帰国するケースなど多様である。

 そのような状況にある親はなるべく早く日本語を習得してもらいたいと願うものや、母語を忘れないようにさせているとか、はたまた子どもの言語にほとんど関心がないなど、これまた多様である。

 日本では日本に住んでさえいれば義務教育の範囲で学校に入学にできる権利がある。親は学校にさえ子どもを入れておけば問題がないと思いがちだが、非日本語母語の子どもたちへの対応がなされていないことが非常に多い。というか、どうすればいいのかわからない状態である。

 過去に例が少ないことや子どもの母語に精通していないことなど色々問題が山積みである。学校側も日本人学生の中に入れておけば自然にコトバを覚えるだろうと考えているものも多い。

 実際はそうではない。生活内で使う日本語は子どもはさほど問題なく取得できるようだが、勉強用のコトバ、つまり思考のコトバはしっかりと習わない限り習得できないとされる。

 その思考言語は精神と結びついており、母語の完全な習得もままならないまま第二言語環境に放り込まれるとアイデンティティの欠落や抽象的思考が出来なくなってしまう恐れがある。

 そう考えると母語の重要性が浮き彫りとなる。母語の上に第二言語がのっかていると考えられる。

 だから国際結婚というのは非常に難しいのですよ。