『みんなの日本語』帝国の崩壊

 日本語教育関係をちょっとでもかじったことがある人なら誰でも知ってる『みんなの日本語』。前身は『新日本語の基礎』、はたまたその前身は『日本語の基礎』と3代にして帝国が築かれた。

 スリーエーネットワーク発行のこの教科書、他の競合教科書を寄せ付けません。なぜか?

 みなさんもお分かりと思いますが、周辺諸国連合(副教材)が非常に強力であることが挙げられます。その副教材たるや、『文型練習帳』『標準問題集』『漢字練習帳』『導入・練習イラスト集』『練習C・会話イラストシート』ビデオ、虎の巻(教師用指導書)、絵カード『聴解タスク』…と周りをすっかりガードしています。


これじゃ、他の教科書は太刀打ちできません。

     「この世をば、わが世とぞ思う望月のかけたることのなしと思えば」

 しかし!栄枯盛衰 盛者必衰 この教科書に慣れきったしまった教師はまったく気づかなかったことが判明してきました。

 初級に不必要な(このレベルで使用できない)文型が数々あることがわかりました。そして、語彙の移り変わりに対応できていないこともあります。いまだにテープレコーダーや手帳を学生は覚えなければなりません。パソコンと言わずコンピューターといわなければなりません。

 じゃあ、文型を抜いたり、語彙を変えればいいじゃないかと思いますが、そうは問屋が卸しません。教科書だけの問題ではないからです。

 教科書の語彙をひとつ変えることは周辺教材すべてを変えなければならなくなります。つまり、『みんなの日本語』を支えてきた周辺教材が、今度は逆に足かせになっているのです。もはや、身動きのとれなくなった眠れる獅子となりました。

 しかしながら、この教科書に代わりうる実力のある教科書候補はないと言っていいでしょう。今の自民党と同じです。

 さてさてこれからどうなるのやら… 中途半端で終了