わからない音

 音が聴き取れなければ話すことができないと言われます。実際、目標言語の音が母語にない場合、如実に現れます。

 中国語には有気音と無気音の対立がありますが、有声音と無声音の対立がないため、日本語のPとBの区別や、KとGの区別が難しいようです。福建のほうではダ行とラ行の区別がありません。

 ここタイにおいても同じことがいえます。この間ラジオを聴いていたら、三菱(ミツビシ)を

 「ミスビチ」と発音していました。Mi tsu bi shi が Mi su bi chiです。

 つ(tsu)は確かに難しいです。日本人の3,4歳児にはまだ発音できない幼児も多いですから非母語話者に対しても難しいのはわかります。でも、shi chi は別物だと思うのですが…

 shiは有気音がかった摩擦音で、chiは破擦音です。chiは口蓋につけますが、shiはつきません。しかし、shiは口蓋化(下が口蓋に寄る)するためchiに近い発音になるとも考えられます。

 ですから、七時(しちじ)は「ちちち」に聞こえます(「じ」も難しいようです)。また出身(しゅっしん)が「ちゅっちん」になります。

 そういうボクも学生のニックネームの Ying と Ing の区別をまだ聴き取ることができません。半子音(半母音)のYがくせものです。

 最近、シャドウイング第二言語習得に効果があると言われていますが、聞き取れない音にも効果があるのか知りたいところです。