「エリン~」について

 みなさんは『エリンが挑戦!にほんごできます』をみましたか。どうでしたか。数人の日本語教師に聞くと「ちょっとね…」という声が一様に返ってきました。ボクも一回見て「これは使えないなあ」と思いました。

 近年にない駄作だと表明します。ちょっと前にやっていた清ルミの番組は日本に住む非母語話者主婦をターゲットとしていて清ルミワールドがそこはかとなくかもしだされていました。清ルミ通には見逃せない一品でした。

 で、『エリン』です。5つ問題だと思うことを挙げます。

 まずは内容。個々の登場人物のキャラが曖昧なためストリーが展開していてもぼやけている。民放の学園番組に習おうとして完全に失敗している。多分『中学生日記』あたりの脚本家が国際交流基金(JF)の対処しけれない要望を組み入れたため内容が骨抜きになったと考えられます。

 2つめはこの番組はNHKとJFという民間ではないところで製作されたもの、つまり国民がお金を出しているという事実である。制作費は民放製作会社の数倍のお金が使われてこの内容である。お粗末きわまりない。

 3つめはこの番組は若い学習者を対象としているらしいが、こんな中途半端な番組を見るのだったら、民放の学園物のほうがよっぽど文化(この番組の言う文化が何を持って文化とするかはわからないが)がわかる。

 4つめはある対象表現をそれよりももっともっと難しいメタ言語を使って説明している。その日本語の説明がわかるぐらいだったら既に対象表現が獲得されているはずだ。

 5つめに、JF一押しのこの番組のDVDは日本にいない学習者に対しても対象者としている点だ。『中学生日記』の延長にすぎないこの番組を日本の文化として紹介するのである。やれやれ

 最後に一言。『ヤンさんと日本語の人々』のリメイク版が待たれる。