タイムリミット22分。もう後はない。しかし2度の挫折を味わった後遺症は残る。
もう一本裏の道に入る。結構繁盛している中華屋があった。よし、ここだ。
ほとんどの座席が埋まっている。忙しいので前に食べた客の皿が残っている。店の太ったおばさんが座席から座席へと動き回っている。
本棚から1冊マンガを取り出し、おばさんに注文が出来る頃合を見ていた。ボクのあとから入ってきた人はノレンからクビを出し、客の多さに驚き、それ以来ノレンから顔を出すことがなかった。
目の前にある食べ残しの中華丼はまだ片付けられない。
客が一人ひとりいなくなっていった。太ったおばさんがノレンを片付けだした。
ボクは慌てて、すみません。中華丼お願いします。太ったおばさんはいぶかしげに、また食べるの?と聞いてきた。
ちがーーーーーーーう!この目の前の中華丼は前の客の食べ残し。
あれーーーーーーー。ごめんなさい。今すぐ作るね。
時計は12:52を指していた。もう食べる時間などなかった。またもやボクは無言のまま席を立った。もう学校へ帰ろう。
しかし、見たこともない道だった。
仕方がないのでコンビニから出てきた女性に、すみません、A大学はどの方面にありますか? え? その女性はわからなかった。 じゃあ、A駅はわかりますか。その女性は、あー と言って歩き出した。
連れて行ってくれるらしい。ボクはどうしてこうなったか話した。が、あまり興味がないようだった。4分以上歩いているのに全くここがどこかわからなかった。
結構遠いですね。とボク。 そうですか、わたしは毎日歩いています と彼女。
ボクは、冗談で、自転車も買えないんですね。キツい冗談だった。
彼女は白い歯を見せて笑った。
<いいことがあるかも>