救急車でダンス
カーテンごしからあさがあけかかっていることに気づく。それにしてもここはどこだ。
ゆっくり考える。あっ… コノホテルは一人で入ったのか連れがいたのか
覚えていない。昨日おやじが死んだ。家に用事を済ませるため病院を離れた。ちょっとだけの
飲み屋がそのままここになったようだ。通夜があったんだろうなあ。
家に戻ると黒っぽい服を着た知らない人たちがたくさんいた。達吉もいた。いつものように
張り切っていた。こういう場面では活き活きしている。たしかおやじの3つ上だったか。
「何してた?えー、何してた?」隣の家まで聞こえるように、自分の存在をアピールするように…
シャワーをあびたかったが、ぼくはそのままこの家をでた。死んだんだからどうでもいいじゃん。