大井川の流れ星 下

 ふと思った。辞めよう。
そう思うと体が軽くなった。
 
そこからはかなり簡単にコトが運んだ。
 
仕事が終わり、自転車に乗った。
この自転車はここで買った。もう乗らなくなるなあ。
 
向かい風が大井川を渡っている。夜空はくっきり晴れ上がってる。
スッー。あ、流れ星。
 
試験に落ちるかもしれないから、願い事しておかないと!
そのとき、ちょっと寒気がした。オチルカモシレナイ。
考えないようにしていたことだ。
 
橋の真ん中で自転車を止め、流れ星を待った。
ずっーーと待った。
 
これって時間の無駄だなあ。ここで働くようになってから、否、
その前からずっーーと流れ星を待っていたのかもしれない。
 
自分で漕ぎ出せばいいだけの話。早く帰ってビールを飲もう。