ドリフとドリフト

 今日は「です」について述べます。ドリフ(ターズ)は例文だけ。

 「彼は加藤茶です」の「デス」は「ダ」に置き換わります。「彼は加藤茶ダ」。

 「デス」と「ダ」の違いは丁寧さの違いとして理解されています。

 ある部分では合っているが、若干違うところがあります。それは形容詞(イ形容詞)の場合です。

 1 熱いデス
 2* 熱いダ 

(1)はOKでも(2)は言えません。また形容詞の過去形+デスと名詞+デスの過去形は違います。

 3 熱かったデス/*熱いデシタ
 4 長さんデシタ/*長さんだったデス

 上のことから形容詞につく「デス」は名詞や形容動詞につく「デス」を分けて考えなければならないでしょう。

 それでは、形容詞につく「デス」は何でしょうか。丁寧さを表すためだけに添えられるものだと考えらられます。だからテンス(時制)が発生しません。

 また、名詞、形容動詞につく「デス」は丁寧を表すだけではなく文(センテンス)としての形式を表す表示でもあります。「文としての形式」とはその文が単語ではなく、まとまりのある文であることを示すものです。

 だからテンスが発生します。母語話者は当たり前のように(3)の後文が間違いであることが分かりますが、日本語学習者はよく間違えます。

 その間違いは、学習者が未熟だから間違えるのではなく日本語の言語形式の不備がそうさせるのでです。学習者は2や3の間違いをよくします。

 日本語だけではなく言語の変形過程は全ての言語にも言えます。将来的には(3)の後文も許容されるようになると思いますが、現在では誤文となります。コトバは常に動いている。これをドリフトといいます。