活字欠乏症

 2年半マレーシアに住んでいた。場所が観光地で本屋には日本語の本はあったが、非常に高く貴重であった。

 給料はあまりもらえなかったので一ヶ月に一冊しか買えなかった。好みの本は旬の本じゃなかったから、それなりの本が手に入った。2~3年前に読もうと思った旅行本などだ。

 極たまに雑誌が手に入った。観光系の仕事をしている(日本語)学生が日本人にもらったといって持ってくる。2,3日前に出たばかりの『スピリッツ』のときは興奮してしまった。

 学生から借りて、寝る前にゆっくり読もうと思った。仕事が終わってシャワーを浴びて、ベットの中で『スピリッツ』が読めると考えただけでその日一日は幸せだった。

 しかしながら、雑誌は雑誌である。隅から隅までゆっくり読んでも一時間もかからない。あまりのあっけなさにがっかりしたものだ。

 仕事に使う本を日本の家に頼んでおいたのだが、それが届いた。なんと包み紙がわりに新聞が使われていたのである。それも朝日新聞である。

 くしゃくしゃになった新聞を丁寧に伸ばして朝起きたときコーヒーを飲みながら読むことに決めた。

 字数の多い朝日は読み持ち(?)がいいので3日はもつ。日本にいるときには絶対読まない川柳や俳句、短歌は1ページ全部だったりすると旅情を味わいながら読めるので1日多めに読める。

 そういえば,新聞に「O157」という文字があって何と読むのかわからなかった。日本にいると当たり前のように「オーイチゴーナナ」とわかるが文字情報だけでは読み方がわからないことがある。

 ボクの前に赴任していた人は麻原 彰晃の「ショウコウ」をどうやって読むかわからなかったと言っていた。

 でも、今ではインターネットで簡単に日本の情報が手に入るようになったのでこんなことはないだろう。それでも流行語なんかどう使うのかよくわからないなあ。