スヌーピーの女の子
小学生の頃はよく町内総出で家族旅行へ行ったものだ。
親の中にはホテルの到着が待ちきれずに朝から飲み始めているものもいた。子どもはというと男子は男子、女子は女子で集まってホテル行きのバスを待った。
まだ子どもも多い頃だったのでたくさんの友だちと旅行に行けた。
いつもの遊び友達なのでどこへ行ってもやることが同じだが妙に興奮していた。
野球、観光ホテルのゲームセンター、プールお風呂などなど。
いつもはほかの女子とは遊ばない2コ上の女の子もバスに乗り込んできた。
肌が白くてやせていてかわいいというよりキレイな女の子だった。真ん中ほどの位置の窓際に座った。ボクたちは一番後ろでワーワー意味もなく騒いでいた。
ボクは騒ぎながらも気にはなっていたがそんなフリはしなかった。
途中、トイレ休憩がありその女の子もバスを降りた。みんなもゾロゾロ降りた。ボクは一番最後の列に続いた。その女の子の読んでいた本が座席にうつぶせに置かれていた。
スヌーピーの英語版だった。なんでこんな所でこんな本をよむのかボクにはさっぱりわからなかった。わからないと同時に神秘的だった。
当時からスヌーピーなど全く面白くもなんともないマンガだった。それを面白いと思う人がすごいようにも思えた。
みんな乗ったのが確認されてからまたバスが出発した。彼女はほかの女の子とは違う世界で、窓に頭を置いて景色を眺めていた。