エゴの集団

 以前は電車通学(通勤)していた。電車内ではいろいろな人がいた。その中である傾向を見せる人々がいる。

 まずは「迎えに来いコール」をする人々である。彼ら/彼女らは座席につくなりケータイを取り出し「オレ、6時20分、お願い」と用件のみをサッと話し、サッと切る。車内でのケータイ使用は迷惑だがそんなに気にはならない。

 次に車内で永遠にケータイでしゃべりまくる迷惑男/女である。殴ってやりたいのをみんながグットと堪えているのがわかる。迷惑そうな目を向けたり舌打ちなどするが、はなから公共性のカケラもない迷惑男/女には通じない。

 それから、我が者顔で4人掛けボックス席をふたりぐらいで占領している学生である。学生定期は約半額であるから君たちは座ってはいけない。立ってなさい。

 最後に、総じて言えることは年寄りに席を譲ろうとするものは皆無に近い。しかしながらそれは心が冷たいからではなく、譲る勇気がないからである。
 
 よく外国人に日本人は優しいと言われる。無理を言ってもきいてくれるからだ。日本人は優しいのではなく、弱いのである。パブリック(知らない人との接触の場)に対して定型的行動がとれないのだ。どのタイミングでどう行動したらよいか分からないのである。

 だから席を換わりたいけど換われず、立っている人も座りたいけども言えないのだ。両方とも居心地が悪いのである。到着駅に着く前に一番にドアに向かうのは換わりたいけど換われなかった人である。

 換われなかった自分に傷つきながら早くドアが開くのを待っている男の背中を見ながら、心の中で「自分を責めてはいけない。早く強くなれよ」と叫ぶ俺はなんなんだ?

   強くなくては生きてはいけない 優しくなくては生きる資格もない       チャンドラー