浮気現場の想定

 
 それでは問題。夫が浮気している場面を妻に発見された。夫はなんと言う?

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 △舛丹磴Δ鵑世茵A子。
 Join us!

 答えはだったら楽しいかもしれないが、△任△蹐Αそれでは第二問。「ちっ違うんだよ」は何が「違う」のだろうか。

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 A子(妻)が考えていることはオレはしていない。誤解だ

 △龍地に達していれば問題ない(?)が、答えはであろう。現行犯だが、やっていないというスリと同じ心境で発せられた発話である。

 「違う」とはある物事が他と一致しないということである。「ある物事」とはこの場面であろう。では「他」とは? 

 前々回に書いた「~ですケド/ガ…」を覚えていただけているだろうか。言わないことは聞き手に補ってもらうやり方が日本語では多い。ここでの「他」とはA子(妻)の想定である。聞き手(A子)が補った「夫が浮気をしている」という想定を「違う」と否定しているのである。

 ややこしいのはそのA子の想定はA子自身の想定ではなく、夫がA子の想定であろうと想定したものを否定していることである。

 しかしながらその想定も間違っているとはいえないことが多い。夫が「ちっ違うんだよ。A子」と言えば妻は「何が違うのよ!」と言うであろう。つまり夫が妻の想定を想定してそれを否定したものが妻は夫が妻の想定であろうとした想定の打ち消しを妻の本当の想定と同じであるので「何が違うのだ」と言っている。

 どうですか。このやり取り。想定の想定の想定…というように発話されていない部分の意味を解釈しその解釈に新しい想定が加わっていくさまがよく分かるでしょう。人はコトバにしない部分から多くのメッセージを受け取っているようです。妻も夫の驚きようから浮気の確実性を受け取ったともいえます。

 漫才やコントが最近ブームですが、漫才やコントで大切なのが「間(ま)」だといいます。「間」は聞き手(客)が想定を作り出している時間だと考えられます。短いと想定が不十分で、長いと必要のない想定まで出力されるので、ちょうどいい頃合いを見定めるのが難しいのです。 

 悲しいかな浮気の現場を押さえられた夫の脳は現場だけの想定ではなく将来の自分の想定も出力しているであろう。思い切ってJoin us! と言えばこんなことにならなかったのに…。