旅恥12

 連絡船の寄航場所は4箇所ある。2番目でほとんどの人が降りていった。3番目で静かな彼に促されて降りた。降りたのは僕らだけだった。わー、違う宿にすればよかったかな…。

 ちょっと高台にあるフロント兼食堂兼販売所で支払いを済ませて、湖側にある部屋に入った。ビンゴ!新築である。新築で知名度がなく、安くなっているようだ。部屋が広い。ベッドはダブルでマットレスがしっかりしている。

 さっそくシャワーを浴びる。シャワー場はやたらと広い。広すぎる。なんと!お湯シャワーらしい。安宿ばかり泊まっていた僕には贅沢すぎる。ここはインドネシアだが山の上のほうにあり、20度前後で涼しい。水シャワーではチトきつい。

 蛇口を回したがなかなかお湯が出てこない。5分待った。出てこないのでまた服を着てフロントもどきのところへ行った。

 お湯出ないよ。 え?お湯使うの。 シャワーを浴びるんだよ。 お湯出なかった。 出ないから来たんだよ。 そう、おかしいわね。

 現地の人はお湯シャワーなど使わない。でも軟な僕にはこの気候では水シャワーはつらい。なかなか直しに行こうとしないので自分で直すことにした。使われている機械は日本製のものである。どうやら電池が切れているらしい。電池をもらいにまた戻った。

 電池が切れてたよ。 どうして分かったの。 機械が日本製だからすぐに分かったよ。 あなたが作ったの。 違うけどさあ。

 彼女は商品棚にある電池の袋を破り、その中から2本電池を取り出した。僕はそれをもらって部屋に帰ろうとしたが、棚の横にある冷蔵庫の窓からビンタンビールが目に入ってしまった。もうそこから離れるわけにはいかない。さっそく1本飲む。

 中国の青島ビール、タイのシンハービール、フィリピンのサンミゲルビールいろいろ飲んだがビンタンビール(「ビンタン」とはインドネシア語で星を表す)はアジアのビールで一番うまい。

 2本目に挑戦。だんだんシャワーを浴びるのが面倒になってきた。結局5本飲んで部屋に戻って寝てしまった。明日はこの島を探検しよう。