外国人に日本語を教えていると、今まで考えたこともなかったことを質問されることがある。
「食べたい」と「食べよう」は何が違いますか?
日本語学では「~たい」は願望で、「~よう/おう」は意向で、全く違うカテゴリーである。よって、そう教えても、
それはわかります。何が違いますか?
ええっと…
普通の日本人にとって「1(いち)」と「ひとつ」の違いなど説明することなど皆無だが、その違いは非母語話者にとって必要な情報となる。
<「~たい」はできなくてもいいことも使えます。「鳥のように飛びたいです」といえますが、意向形はしたいことだけではなく、することができることに使います。だから、「飛ぼう」はダメです>
上の説明で何とか乗り切れたと思いきや、次の質問が出る。
じゃあ、「食べよう」と「食べる」は何が違いますか?
日本語学では動詞の現在形には例外があるが意思が含まれていると考えられている。意向形と意思の違いを説明しなければならない。
上の例のように文法用語を教えても学習者にはSo What?である。漢字がわかる中国人であってもである。
<目の前にリンゴがあります。A「食べる」と言っても誰が食べるのかわかりません。「食べる?」のような質問かもしれません。でも、A’「食べよう」は話し手が食べるのがわかります>
上の説明でOKだろうと思いきや、またまた次の質問が。
意向形は話し手と聞き手両方がすることも使えますが、上の例は話し手だけですか?
えええっと…
<「食べよう」は話し手一人で食べるときも聞き手と一緒に食べるときも使います。一人の時は「食ーべよ」と伸ばしたり、二人一緒のときは「食べよう↑」と上がったり「食べようか/よ」などのように後ろに「よ」や「か」がつくことが多いです> と苦しい答えになる。
修行が足りませんねーいやはや