一文でできない文

日本語教育の中で初級で出てくる文型(文法形式の雛形)も
実のところ、そう簡単には一般化できないこともあります。
 
①田中さんを案内する。
②京都に案内する。
③*田中さんを京都を案内する。
 
上の例文③は「二重ヲ格制限」でできない。
 
④#田中さんを京都に案内する。
 
では、「京都に」にすればどうか。文としては成り立つが、
意味が変わってしまいます。④の意味は「京都へ連れて行く」ということで
「京都内を連れまわす」意味ではありません。ですから、一文で表せせないんですね。
ぎこちないですが、⑤のような文になるのでしょうか。
 
⑤田中さんを京都に連れて行って、京都を案内する。
 
また、下の文は問題ない。しかし、
 
⑥CさんがBさんのカバンを持ってあげる。
 
AさんのカバンをBが持っている。Bさんは重そうなのでCさんがBさんのために
持ってあげるとしたらどうでしょう。
 
⑦CさんがBさん*の/*に Aさんのカバンを持ってあげる。
 
上例では「の」も「に」もダメなんですね。ぎこちないですが、
 
⑧CさんがBさんのためにAさんのカバンを持ってあげる。
 
「の」も「に」もある⑧となるのでしょうか。